それはスポット・ライトではない(浅川マキ)





あなたにはあの日に忘れてきたもの、ありますか?やるべきなのに避けてきたこと、逃げてきたことありますか?

わたしには2つ。2017大矢知祭りでの不完全燃焼Liveに対するリベンジ。そして、親知らずの抜歯だ。その2点、この2週間でキッチリ片付けてきたぜ。

忘れもしない昨年の10月22日、大矢知祭り。台風21号が私達の音楽に直撃し、練り上げてきたセットリストをその場で調整、珠玉の22曲を8曲に減らして観客の安全を優先した。あの空間にいた400人程、みんな帰ってすっかりカラになった客席を眺めながら、大雨警報ってどっかで実際音が鳴ってるものなの?なんて関係ないことを考えながら、舞台の端っこに座り、足をブラブラさせてた。

そして、今年9月9日。みんなでもう一度ぶっ壊してから組み上げてきたぜ、ヤバイ2時間。浅利さんへの無意識の追悼、ミュージカル「キャッツ」「コーラスライン」や、おかあさんといっしょ。昭和歌謡から、アリア、インスト。今回も満員立ち見御免の会場にジェリクルソングのピアノリフが流れると、緞帳がゆっくり上がる。下から照明の光が差して、射して、さして、緊張もしてない僕も正面からのスポットライトに目が眩む。「痛かったら手上げてねー」。違う!これは歯医者が頭に付けてる洞窟探検隊みたいなライトだ。麻酔が既に痛いじゃねーか!痛さだけで痺れるわ!「やっぱ谷君、身体がデカいから歯もデカいよ、外国人並みやなー。」そういうものなの?それより外国人の歯、マジで治療したことある?目に涙が溜まるのが分かる。ギリギリギリ、、なんか回してる。軋む音が脳にダイレクトチェックイン。溜まった涙が目尻をなぞる。「私な、途中から泣けてきたんやわ。楽しい曲でな、子供達みんなええ顔で笑っとるのな、私は幸せで泣けてきたんやで。」おばあちゃん、ありがとうやで。その為に頑張ってきたんやで。子供達、毎日毎日頑張ったんやで。

教室でレッスン頑張る子供達。なにより、送迎に来てくださる保護者の皆様。いつか自分が没頭できる環境に対して、感謝を意識する時がくるでしょう。奥歯を無視して生えてくる「親知らず」、そんな無礼な名前の歯は抜いてしまえ!

抜歯から6日目。まだ引かぬ痛みに、こんなことならまだ避けとけば、逃げとけばよかった、、と心から思っている。転げ落ちる一本の歯と共に、僕の平成最後の夏が終わった。





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JazzとHip-Hopの親和性に日々悩み、3連符を12分音符と呼ぶ人とは距離を置きつつ、Klo Pelgagが近鉄バッファローズのキャップかぶってるのを見て世界の自由さに嫉妬する毎日。バリー・ユアグローの文学から、着地は樋口毅宏先生。辛い時は、ハンス・ランダの高笑いを思い出す。
絶賛育児中の愚筆家。